三井温熱のアチチ反応とは?自分で温めるときは、出さなくていい

うつ伏せで力を抜いた女性の背中に、温熱器を当てる施術者の手 三井温熱療法

「アチッ!」

三井温熱療法を体験して、思わず声が出た。そんな経験はありませんか。

あるいは、これから三井温熱を受けようかと調べていて、「アチチ反応」という言葉に出会った方。悪いところが熱く感じる反応です、と書いてある。じゃあ、熱いのを我慢しなきゃいけないのか。そう思って少し身構えている方も、いらっしゃると思います。

先に結論を言います。アチチ反応は、出せばいいというものではありません。とくに、ご自分で温熱器を当てるときは、出さなくていい。

熱の刺激は、自律神経(じりつしんけい)をゆさぶります。だから血流が変わり、深いところのこわばりがゆるむ。けれど、熱いだけで終わると交感神経(こうかんしんけい)の緊張だけが残って、リラックスまでたどり着きません。この記事では、26年やってきた私が、アチチ反応をどう扱っているかを書きます。

アチチ反応とは、何ですか?

施術中、私はこんなふうにお客様に話しています。

「ほら今、アチって言ったでしょ?『熱いです』とは言わない。思わずアチって言ってしまう。温熱器を当ててると、悪いとこは熱く感じるんですよ。これが、アチチ反応です」

ここが大事なところです。「熱いです」ではないんです。思わず出てしまう、「アチッ!」ていう表現。

言葉を整理しておきます。体の側にある、熱く感じる場所が「温熱ポイント」。そこに温熱器が当たったときに、思わず出てしまう声が「アチチ反応」です。温熱ポイントの話は、こちらに書きました。
三井温熱療法とは?「熱いほど効く」は本当です。ただし我慢はさせません

先日、初めて来られた40代後半の女性の話をします。

秘書のお仕事を15年。
もともと、私の温熱療法を長期間受けているお客様の紹介です。

「温熱なら私は救われるかも……」

期待を込めた笑顔を浮かべていました。カラダはツラいはずなのに笑顔。

「ツラくても、頑張り続けてきた人なんだろうな」

左半身のしびれと、解消しない首こり。病院で調べても原因がわからなかった、と伺っていました。

私は柔道整復師(じゅうどうせいふくし・国家資格)です。まず問診で、炎症が起きていないか、いま熱を入れていい状態かどうかを確かめました。夜も痛むか。じっとしていても痛むか。そこを聞いたうえで、今日は温熱をやっていい日だと判断しました。長く続いてきた緊張が体に出ているのだろう、と私は見ていました。

そのうえで、施術に入る前にアチチ反応の説明をしました。言葉だけではありません。実際に熱を少し体感してもらってから、始めました。

温熱器を当てた瞬間でした。

熱さの立ち上がりが、ものすごく速い。

私はすぐに温熱器を離します。そして気持ちよく撫でるように流していく。

ここで、先に説明しておいたことが効きました。彼女は驚かなかったんです。「これがアチチ反応か」と受け止めて、施術に協力してくださった。

しばらくして、左の背中の硬さが変わってきました。温熱器を介して手に伝わる感触が、途中から別物になる。

正直に書きます。しびれが全部取れたわけではありません。

それでも彼女は、カラダがとてもラクになったと言って、笑顔を見せてくれました。

「なんか……よくなるような気がする」

もし、このときアチチ反応の説明をしていなかったら。熱いのをただ我慢させるだけの、つらい施術になっていたはずです。

アチチ反応は、その深い意味を知っているかどうかで、体験がまるで変わります。

なお、しびれや強い痛みが続いている場合は、まず医療機関で診てもらってください。

なぜ、一部だけ熱く感じるのですか?

同じ温度で当てているのに、熱く感じる場所と、そうでもない場所がある。不思議ですよね。

熱く感じやすいのは、だいたいこの三つです。

筋肉のこりがあるところ。
関節のまわりで、硬くなっているところ。
内臓と皮膚が神経でつながっている、反射区(はんしゃく)と呼ばれる場所。

ただし、どこに出るかは人それぞれです。同じ方でも、その日によって違う。「ここが熱くなるはずだ」という、はっきりとした地図は、ありません。

ひとつ、あまり書かれていないことを書いておきます。

温熱ポイントに当たったときの熱さは、びっくりするほど立ち上がりが速いんです。

ほかの場所とまったく同じ温度で当てているのに、そこだけ、ゼロからアチチまでが一瞬で来る。

温熱療法師がこの速さを知らないと、必要に応じて温熱器をかわせません。
「かわす」というのは、お客様がアチッとなったらすぐに温熱器を他のところに動かしてあげる技術のことです。
上手くかわせなければ、お客様は「熱すぎる」と感じます。「やけどするんじゃないか」という不安も出ます。

つまり、アチチ反応と「ただ熱すぎる」の差は、場所の性質ではありません。当てている側が、その速さに間に合っているかどうかです。

熱でカラダの中に何が起きているのかは、別の記事に書きました。
体を温めるとなぜラクになる?「気のせい」じゃない理由を、26年温熱をやってきた私が話します

アチチ反応が出ないのは、効いていないということですか?

結論から言います。違います。

アチチ反応が出にくい方は、います。

たとえば、痛み止めを長く飲んでこられた方。強いマッサージをずっと受けてきた方。ほかにもいくつかあります。皮膚にある熱を感じるセンサーが、鈍くなっていることがあるんです。

こういう方に、最初から強い熱を入れてはいけません。

反応がないから温度を上げる。これがいちばん危ない。感じないまま、焼けてしまいます。

私がやるのは逆です。注意深く、丁寧に当てていく。センサーを少しずつ起こしていきます。

そうすると、何回か重ねるうちに、熱さを感じるようになってくる。今まで何も感じなかった方が「あっ、ここ熱い」と口にだすようになる。

アチチ反応が出ないのは、効いていないのではありません。まだ、感じ取れる状態に戻っていないだけだと、私は見ています。

ただし、ここは経験が要ります。

温熱器を当てながら、お客様の皮膚に伝わる熱量を、想像する必要があります。
熱さが出にくいなら、出るように温熱器を当てるのです。それでも出にくい場合もあります。注意深く、根気よく当てていきます。

自分で温めるとき、アチチ反応は出したほうがいいのですか?

これも、結論から言います。出さなくていい。

包み隠さず書きます。6年前の私は、逆のことを言っていました。

熱く感じるところ、そこがあなたの治療点です。自分でそう書いていました。アチチ反応を追いかけて、熱さが変わるまで入れ切る。それが私の温熱でした。

そこに価値を感じてくださったお客様もいます。でもそれはあくまでもプロが行う温熱療法です。

自分で温めるときは、「熱いけど気持ちがいい」という熱が一番いい。

お客様がご自分で温熱器を当てるようになると、よくこんな誤解が生じます。

熱いところが悪いところだ。だから、そこに熱を入れなきゃいけない。そう教わったから、我慢しながら当て続ける。

ほとんど、うまくいきません。

理由ははっきりしています。熱いだけで終わると、自律神経のうち、緊張のほうを担当する交感神経だけが働き続けます。緊張したままの体が、ラクになるわけがない。

だから今の私は、こうお伝えしています。

「自分でやるときは、アチチ反応はしなくていいんだよ。少し熱く感じるぐらいにして、その後は気持ちよく撫でればいい。熱いよりも気持ちよく感じるのが多い方が、効果が出ますよ」

これを聞いて、ようやく腑に落ちたという方が、たくさんいます。

強い熱を入れて、一瞬でかわす。あれは、当てている側の手がやっていることです。自分の背中に、自分でそれをやるのは無理があります。

だから、ご自分でやるときに狙うのはアチチ反応ではありません。気持ちいいと感じる熱を、広く、長く。それだけでいい。

セルフケアの手順そのものは、別の記事に全部書いてあります。
三井温熱セルフケアのやり方|毎朝1時間、自分に温熱している私の手順

熱さの加減の見分け方は、こちらです。
三井温熱の温度設定は何度がいい?

いまの私は、お客様ひとりひとりの熱さの感じ方に合わせて施術します。どんな方が前に来られても、生理学の理屈と、26年でつくってきた技術で、受けていただける温熱にする。

6年かけて変えたのは、そこです。

熱く感じる場所が多いほど、体が悪いのですか?

これも、よく聞かれます。

答えは、いいえ。熱く感じる場所の数は、体の悪さの量ではありません。

理由を二つ書きます。どちらも、私がそう見ているという話で、証明された話ではありません。

ひとつ。指先や足先は、もともと熱を感じやすい場所です。熱センサーが密に並んでいて、皮膚も薄い。だから、そこが悪いというより、感じやすいから熱い。私はそう見ています。

ふたつ。ストレスが続いて交感神経が緊張しきっているときは、どこもかしこも熱く感じることがあります。体じゅうが悪いのではありません。熱を受け取る側が、過敏になっている。

ですので、熱いところを数えても意味がないんです。

私が見ているのは、熱く感じる場所の数ではありません。
最初はカラダのそこら中が熱くても、熱さと気持ちよさを交互にバランスよく与えることで、熱さが和らいでくる。そこら中じゃなくて、温熱ポイントが絞られてくる。
そこに注意深く熱刺激。するとカラダがユルんでくる。そしてカラダがラクになる。

ですから、熱いところが多いからといって、それだけ悪いということではありません。

ここまで読んで、自分はどうなんだろう、と思われたかもしれません。そこは悩まなくて大丈夫です。合うかどうかは、体に触れる前の問診でだいたい判断がつきます。
三井温熱療法は私に効くの?体に触れる前に、問診でわかること

よくある質問

Q. 施術中、「アチッ」は我慢したほうがいいですか

我慢しないでください。声が出たら、そのまま出してくださって大丈夫です。声を出したくなければ、体を動かしてくださるだけでいい。それが合図になります。熱をどけるのは、当てている私の仕事です。

Q. アチチ反応と、やけどは違うものですか

違います。アチチ反応は立ち上がりが一瞬なので、すぐどければ、あとに残りません。危ないのはその逆で、じわじわ熱くて我慢できてしまうほうです。見分け方は、こちらに書きました。
三井温熱の温度設定は何度がいい?

Q. 自分でやっていて、アチチが出てしまったら、どうすればいいですか

温熱器をずらしてください。それだけです。そのあとは、気持ちいいと感じる強さで撫でるように流す。出てしまったことを気にする必要はありませんし、追いかける必要もありません。

最後に

アチチ反応は、三井温熱の入口にある言葉です。だから、どこを読んでも「悪いところが熱く感じる」と書いてある。それ自体は、間違っていません。

でも、そこから先が、あまり書かれていない。

出ない方がいること。ご自分でやるときは出さなくていいこと。数が多いから悪いわけではないこと。

26年やってきて、私が変えたのは、この三つです。

熱いかどうかより、終わったときにラクになっているかどうか。見ているのは、そこだけです。

※本記事は医療行為の代替ではありません。痛み、しびれ、皮膚トラブルなど不安がある場合は無理をせず、専門家に相談してください。

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