「気のせいですよ」と言われたことはありませんか
病院で検査を受けても「異常なし」。家族に話しても「気のせいじゃない?」「歳のせいでしょ」。
でも、痛いのはあなたです。ツラいのはあなたです。検査で異常なし、でもあなたが感じるカラダのしんどさは真実です。
そして、温めるとラクになるのも真実。
私は温熱療法の施術を26年続けてきました。この記事では、「温めると体に何が起きるのか」を、私の経験をもとに包み隠さずお話しします。
先に結論を言ってしまうと、温めるとラクになるのは、気のせいなんかじゃありませんよ。ラクになる、ちゃんとした身体の仕組みがありますから。
施術者の手は、ウソをつけない
「気のせいかどうか」を判断する材料が、私たち施術者の側にはひとつあります。それは、手の感覚です。
温熱器を皮膚に当てていると、温熱器を介してお客様の身体の状態が手に伝わってきます。
- 皮膚の硬さ
- 筋肉の隆起(りゅうき)——盛り上がってこわばっている感じ
- 背骨・肋骨(ろっこつ)・肩甲骨(けんこうこつ)の動きにくさ
これが、温熱器を当てていくうちに変わっていきます。硬かった皮膚が柔らかくなる。こわばっていた筋肉に弾力が戻る。皮膚がほんのり赤くなってくる(発赤=ほっせき、と言います)。
過労によるカラダの疲れ。精神的なストレス。こういったものも、皮膚や筋肉、関節の硬さに影響します。
面白いもので、ご本人の自覚症状がそれほど強くない方でも、温熱器を当ててみると、私の手にはハッキリと硬さが伝わってくるんです。
そして、その硬さが熱刺激でほどけてくると、「あぁ、私、ほんとは疲れていたんだ」と、ご自分の状態を改めて実感される。そういう方が、少なくありません。
自覚していなかった疲れが、手には見えている。これも、思い込みでは説明がつかないことのひとつです。
ここが大事なところです。
もし「温めてラクになった」が気のせい、つまり本人の思い込みだけの話なら、施術者の手に変化が伝わるはずがないんです。硬さが柔らかさに変わる、その手ごたえは、思い込みでは感じられない。
「全然違うっ!」の瞬間に起きていること
施術のあと、初めて温熱療法を受けた方はもちろん、何度も受けているお客様さえも、よく口にする言葉があります。
「全然違うっ!」
この一言には、いろんな意味が詰まっています。痛みがラクになった。身体がラク。気分がいい。身体が軽い。
そして面白いのは、この言葉が出たときに触診(しょくしん=手で体の状態を確かめること)をすると、首まわり、肩まわり、腰まわりが「ゆるゆる」になっていることです。
本人の感じ方(主観)と、施術者の手が確かめる変化(客観)が、ぴったり一致する。この場面を、私は26年間、数えきれないほど見てきました。
さて、気のせいで、ここまでそろうでしょうか。
「熱いっ!」は、皮膚のセンサーが感知している
では、なぜ温めると身体が変わるのか。ここから仕組みの話に入ります。
私が施術中、お客様によくする説明があります。
「あなたが感じる『熱いっ!』という感覚。これは、全身を包んでいる皮膚にある、熱センサーが感知するからなんだよ」
皮膚には、いろんな温度を感じ取るセンサーが備わっています。そして、温熱療法に一番関係深い熱センサーには、目安になる温度があります。身体が「おっ、熱いぞ」と本気で反応する温度の目安が、43℃あたりなんです。
お風呂のお湯(40〜42℃くらい)は「気持ちいい」。でも43℃を超えたあたりから、体は「熱いっ!」と明確に反応する。この境目が、三井温熱療法を理解するうえでの鍵になります。
【核心】「温める」と「熱刺激」は違う
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
温めれば誰でもラクになる。実は、そうではありません。温めるだけでは変わらない人がいるんです。これは現場で長年見てきた、正直な実感です。
だから三井温熱療法は、ただ「温める」のではなく、43℃付近の”熱い”刺激を使います。
何が起きるのか、順を追って説明します。
- 悪い箇所とつながる皮膚の熱センサーが「熱いっ!」を感知する
- その信号が、Aデルタ神経繊維(エーデルタしんけいせんい)——痛みや熱さを素早く伝える神経を伝わっていく
- この刺激が、交感神経(体を緊張・興奮させる側の神経)を強烈に刺激する
- すると、その反動で反射的に、今度は副交感神経(あなたの身体を休ませ、回復させる側の神経)が優位になる
「熱い刺激なのに、リラックスの神経が働くの?」と思いますよね。そうなんです。強く押されたバネが、離した瞬間に大きく跳ね返るような切り替わりが、自律神経で起きる。
26年も温熱していると、その切り替わりがわかるようになるんですね。
副交感神経が優位になると、身体には次のような変化が起こると、私は捉えています。
- 内臓の働きが上がる
- 血管が収縮と弛緩(しかん=ゆるむこと)を繰り返す
- 毛細血管の血流が上がる
- 免疫細胞が動き出す
よく「温める→血流が良くなる→酸素が届く→老廃物が流れる」という説明を見かけます。間違いではありません。でも、それだけなら「温めるだけでは変わらない人がいる」ことの説明がつかないんです。
「温める」と「熱刺激」は違う。ここが、私が26年の温熱経験でたどり着いた、いちばん大事な区別です。
だから「熱いところ」と「やめどき」が大事になる
この仕組みがわかると、セルフケアで大事なポイントも見えてきます。
同じように身体に当てているのに、なぜか「熱いっ!」と感じる場所がある。それが温熱ポイントです。悪いところほど熱く感じるサインです。熱さの感じ方には「キンッ!」と「ジワ」の2種類があって、この見分けが安全にも直結します。くわしくは温度の決定版へ。
そしてもうひとつ、大事なことがあります。その「熱く感じる場所」は、あなたが痛いと感じている場所とは違うことが、よくあるんです。腰が痛いのに、熱く感じるのはお尻。26年やってきて、くり返し見てきました。→ 「腰が痛いのに悪いのは「お尻」?痛い場所と悪い場所がズレる理由」
セルフケア温熱のやめどきは、時間ではなくあなたのカラダが声をあげるサインで決まります。重だるさが軽くなり、消えていく。熱さが「気持ちいい」に変わるのと同時にやってくる、この変化がやめどきの合図です。くわしくは時間の決定版へ。
どこから温めるかにも、理由があります。順番を間違えると、かえってだるさが出ることもあります。くわしくは順番の決定版へ。
仕組みがわかれば、セルフケアは「なんとなく」から「判断できる」に変わります。
まとめ:気のせいじゃない。体の仕組みの話です
- 温めてラクになるのは気のせいではありません。施術者の手に伝わる変化(硬さ→柔らかさ・弾力・発赤)が、それを物語っています
- 「全然違うっ!」という本人の実感と、触診の「ゆるゆる」は一致します
- 鍵は「温める」ではなく43℃付近の熱刺激。皮膚の熱センサーから神経を伝わり、自律神経が切り替わる。交感神経への強い刺激の反動で、副交感神経がたくさん働くようになります
- だから、熱く感じる場所(温熱ポイント)と、やめどきのサインが大事になります
「気のせいですよ」と言われて、自分を疑ってきた方へ。あなたのカラダは、ちゃんと反応しています。それを信じて、正しく温めてあげてください。
なお、強い痛みや長引く不調、原因のわからない症状がある場合は、自己判断せず、まず医療機関で相談してくださいね。


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